昔の寄り道 Dr.H以前パート2 Vol-7
後刻、もやもやがドーンと消えたあと、落ち着いてみると
そもそもが、相談すべきじゃなかったのだ、と思った。
自分が間違っていた。
ポーラがどんなことをキムに話したのか皆目わからないけど、
(私の言ったとおりなら)たいしたことは無かったように思う。多分。
でも、結果、
私=>ポーラ=>キム というルート(?)になってしまったから
プライドの高いキムを激高させ、こじれたんだ。きっと。
どうだろう・・・もし自分がキムだったら?・・・
あんなに怒ることはなかったにしても、やっぱりいやな気分になったんじゃないだろうか・・・
だから家を出たあと、なんだか惨めな気分になったのだろうか・・
ともかく、もともとうまく行ってなかった上に
火に油を注ぐこの出来事で激しく派手に締めくくってしまった私。
おかげで3ヵ月半でまた宿無し・・・・・。
でも、起きてしまったことはいまさらどうすることも出来ない。
しかし、どのみち辞めていただろうけど、こんなことになるなんて。
苦い苦い経験。
キムにもう会う事はないだろうけど、さしずめ私はブラックリスト入り。
しかも太字でアンダーライン付だ。恐らく。
いろいろなオーペア仲間や自分の経験から思うに
オーペアのような格安なお手伝いを頼む人にはおおまかに3種類いるように思う。
その1は:
お手伝いの必然性は低いけれど、有料じゃないデミペアなどで外国人学生を受け入れて
文化交流などを通して仲良く楽しみたい、差別意識もあまりない人、家族。
その2は:
お手伝いをなるべく安く、し様がなく頼まざるを得ない+差別意識がある人、家族。
または、特にいなくてもやっていけるはずなのに、もともと差別意識があり、
自分のステータスみたいな感じで雑用はお手伝い(昔のメイド)感覚で雇う人、家族。
その3は:
かなりの程度でお手伝いが必要で、差別意識はあまりなく、1と同じように
外国人学生を受け入れて文化交流などを通して仲良く楽しみたいという希望もある人、家族。
私の一番目のファミリーは、その1:だ。
とても親切ないい家族で、私を家族同様に扱ってくれた。
デミペアだったのが残念だが、ごく普通の家庭で奥さんは働き者、
お金を払って雇うほどの仕事は無かったのだった。
キムはその2だ。
ある知り合いのオーペアの子も、その2: のような家にいた。
子供がいない共働きの家で、家事を担当していた。
彼女が家にいるのに夫婦は暖房を切ってでかけ、帰ってくると冷蔵庫を開けて
食べ物をチェックし、卵を数える、という。
なにか言うとものすごい勢いで反論、または怒られる、とノイローゼ気味で、
私たち週末仲間はさっさと変わったほうがいいと進言したものだった。
その3:のパターンの家にいるオーペアの子は比較的多かった。
皆、家事や子供の世話をするパターンが多かったし、それぞれ楽ではなかったと
思うけれど、家族はフレンドリーで学校へ通うのにも協力的で、自由時間も休みも
ちゃんとしているという。
今時の日本人の我々はかなり均質な社会で育ってきたし、
人種的にも在日の人々やアイヌの人々をのぞけば、ほとんど日本人だ。
出身地によっては多少の違いがあるだろうから、他のオーペアの皆はどうあれ
少なくとも私は、どうにもならないような身分違いの壁や、人種間の差別に辛苦する
機会などほとんど経験していない。
だから、イギリスが未だに身分社会の片鱗を残してることや
未だに人種差別感情があることも知っていても
現実にどういうことなのかはよくわかっていない。
更に、差別というけれど、これは簡単に目に見えるものじゃない。
人々の意識の底にあるものなので、
証明することができない、難しい。
ただ、起こったこと、扱い、言われたことなどを通して
なんか変だな、とかひどいんじゃない?と(私の場合)のろのろと気がつく。
だけど・・・・、実はイギリスのちょっと昔の小説などを読むとすぐわかる。
それが、そんなに簡単に消えうせてるはずがない、
そういう意識の人はまだまだいるのは全く不思議じゃない・・・・
これにものろのろと思い至る。
そんな風に整理してみると最後のオオゲンカ前までの
私とキム+家族のズレはとても単純だったんじゃないか・・・
相手を同じレベルの人間じゃないと思う人がいることを
私が理解できていなかったのだと思う。
キムの家庭はたかだか、3歳、13歳の子供2人。
さほど大きくない家だったし、キムは働いていたわけでもないし病気でもない。
一人でも十分マネージできたはずだ。
だけど、お掃除おばさんもオーペアも雇ってたのは
こまごま雑用は自分ごときがするものではないと考えていたのか・・・
あるいは・・・・上に立った上での、弱者への施しか?
ともあれ、お手伝い=メイドは雑用係り。
黙って言われたことを従順にやるべき存在で、文句をいうなんて論外だったのだろう。
オーペアの分際で主人に文句を言うなんてもってのほか、
なのにおまけに、そのオーペアが知り合いに主人の人柄を問うなんて
キムにとっては
立腹通り越しておもいきり逆鱗に触れることだった。
私は許しがたい黄色い野蛮人だった、
というのが真相のように思う。
結局私の告げ口(?)となってしまったことは
キムには申し訳なかったと思う。
でも、フェアじゃないことに対して訴えたのは間違ってなかったと思う。
とても疲れて、今思えるのはそれだけだ。
パート2 いったん終わり。パート3は後日また!
応援いただけると嬉しいです。

後刻、もやもやがドーンと消えたあと、落ち着いてみると
そもそもが、相談すべきじゃなかったのだ、と思った。
自分が間違っていた。
ポーラがどんなことをキムに話したのか皆目わからないけど、
(私の言ったとおりなら)たいしたことは無かったように思う。多分。
でも、結果、
私=>ポーラ=>キム というルート(?)になってしまったから
プライドの高いキムを激高させ、こじれたんだ。きっと。
どうだろう・・・もし自分がキムだったら?・・・
あんなに怒ることはなかったにしても、やっぱりいやな気分になったんじゃないだろうか・・・
だから家を出たあと、なんだか惨めな気分になったのだろうか・・
ともかく、もともとうまく行ってなかった上に
火に油を注ぐこの出来事で激しく派手に締めくくってしまった私。
おかげで3ヵ月半でまた宿無し・・・・・。
でも、起きてしまったことはいまさらどうすることも出来ない。
しかし、どのみち辞めていただろうけど、こんなことになるなんて。
苦い苦い経験。
キムにもう会う事はないだろうけど、さしずめ私はブラックリスト入り。
しかも太字でアンダーライン付だ。恐らく。
いろいろなオーペア仲間や自分の経験から思うに
オーペアのような格安なお手伝いを頼む人にはおおまかに3種類いるように思う。
その1は:
お手伝いの必然性は低いけれど、有料じゃないデミペアなどで外国人学生を受け入れて
文化交流などを通して仲良く楽しみたい、差別意識もあまりない人、家族。
その2は:
お手伝いをなるべく安く、し様がなく頼まざるを得ない+差別意識がある人、家族。
または、特にいなくてもやっていけるはずなのに、もともと差別意識があり、
自分のステータスみたいな感じで雑用はお手伝い(昔のメイド)感覚で雇う人、家族。
その3は:
かなりの程度でお手伝いが必要で、差別意識はあまりなく、1と同じように
外国人学生を受け入れて文化交流などを通して仲良く楽しみたいという希望もある人、家族。
私の一番目のファミリーは、その1:だ。
とても親切ないい家族で、私を家族同様に扱ってくれた。
デミペアだったのが残念だが、ごく普通の家庭で奥さんは働き者、
お金を払って雇うほどの仕事は無かったのだった。
キムはその2だ。
ある知り合いのオーペアの子も、その2: のような家にいた。
子供がいない共働きの家で、家事を担当していた。
彼女が家にいるのに夫婦は暖房を切ってでかけ、帰ってくると冷蔵庫を開けて
食べ物をチェックし、卵を数える、という。
なにか言うとものすごい勢いで反論、または怒られる、とノイローゼ気味で、
私たち週末仲間はさっさと変わったほうがいいと進言したものだった。
その3:のパターンの家にいるオーペアの子は比較的多かった。
皆、家事や子供の世話をするパターンが多かったし、それぞれ楽ではなかったと
思うけれど、家族はフレンドリーで学校へ通うのにも協力的で、自由時間も休みも
ちゃんとしているという。
今時の日本人の我々はかなり均質な社会で育ってきたし、
人種的にも在日の人々やアイヌの人々をのぞけば、ほとんど日本人だ。
出身地によっては多少の違いがあるだろうから、他のオーペアの皆はどうあれ
少なくとも私は、どうにもならないような身分違いの壁や、人種間の差別に辛苦する
機会などほとんど経験していない。
だから、イギリスが未だに身分社会の片鱗を残してることや
未だに人種差別感情があることも知っていても
現実にどういうことなのかはよくわかっていない。
更に、差別というけれど、これは簡単に目に見えるものじゃない。
人々の意識の底にあるものなので、
証明することができない、難しい。
ただ、起こったこと、扱い、言われたことなどを通して
なんか変だな、とかひどいんじゃない?と(私の場合)のろのろと気がつく。
だけど・・・・、実はイギリスのちょっと昔の小説などを読むとすぐわかる。
それが、そんなに簡単に消えうせてるはずがない、
そういう意識の人はまだまだいるのは全く不思議じゃない・・・・
これにものろのろと思い至る。
そんな風に整理してみると最後のオオゲンカ前までの
私とキム+家族のズレはとても単純だったんじゃないか・・・
相手を同じレベルの人間じゃないと思う人がいることを
私が理解できていなかったのだと思う。
キムの家庭はたかだか、3歳、13歳の子供2人。
さほど大きくない家だったし、キムは働いていたわけでもないし病気でもない。
一人でも十分マネージできたはずだ。
だけど、お掃除おばさんもオーペアも雇ってたのは
こまごま雑用は自分ごときがするものではないと考えていたのか・・・
あるいは・・・・上に立った上での、弱者への施しか?
ともあれ、お手伝い=メイドは雑用係り。
黙って言われたことを従順にやるべき存在で、文句をいうなんて論外だったのだろう。
オーペアの分際で主人に文句を言うなんてもってのほか、
なのにおまけに、そのオーペアが知り合いに主人の人柄を問うなんて
キムにとっては
立腹通り越しておもいきり逆鱗に触れることだった。
私は許しがたい黄色い野蛮人だった、
というのが真相のように思う。
結局私の告げ口(?)となってしまったことは
キムには申し訳なかったと思う。
でも、フェアじゃないことに対して訴えたのは間違ってなかったと思う。
とても疲れて、今思えるのはそれだけだ。
パート2 いったん終わり。パート3は後日また!
応援いただけると嬉しいです。

昔の寄り道 Dr.H以前パート2 Vol-6
翌日、私は午前の部の仕事を大急ぎで済ませ、キムの部屋をノックした。
昨日のうちに腹を決めていた。
まだ部屋着姿のキムは、部屋の中央にどーんと立って私をねめつけ
ぞっとするほど冷たい感じで
「What is it !?」 と聞いた。
午後から出かける旨を言って、ついでに
「私、明日、出て行きます。」 と伝えた。
キムは何も言わなかった。
もうこの家にいたくない。
それにしても、なぜこれほどに怒ってるのだろう・・・
しかし
どうにでもなれ、だ。
以前金井さんが
「アールスコートには格安ホテルが沢山ある」 と言っていたっけ。
とりあえず明日からはそこへ行こう・・・
翌日。
雨だ。
荷造りは前日に済んでいた。
今までのスーツケースとバッグ2つ。でも、届いたばかりのダンボールが増えた。
階下に降りてゆくと、ダイニングにキムがいた。
私がスーツケースやらその他をドアまで運ぶのを黙ってみている。
ドアの前に立って振り返ると、そこにやってきたキムは
「今週の分のお金よ。・・・・・まったく、求人(広告)にも高いお金を使ったのに!!
沢山(面接に)来たんだから違う人を選ぶべきだったわ!!」
イヤミたっぷりに言って無造作に15ポンドを差し出した。
”ありがとう” と私も(多分)ぶすむくれた顔と固い声で返事をしてドアを開けた。
ドアを出て振り返った。
こんな場面でも一応挨拶しようとする習性がつい出るんだと思う。
そしたらキムが突然言い放った。
「私に隠れてポーラに悪口を言ったわね!!」
私は一瞬驚きで息が止まった。
そうか! ポーラが昨日、すでに話してたんだ!
何だ、そうか!
言わなくていいって言ったのに、、自分で話すって言ったのに・・・
ああ、だから夕べラルフが何か変なこと言ったんだ!
昨日の不機嫌も今日の態度もあっという間になぞが解けた。
なんてマヌケな自分。
でも!
「言ったわ。 だけど、本当のことを言ったのよ」
思わず、低い声で言い返していた。
私の言葉を聞いたキムは、ものすごい顔で私を睨み付け、
口をわなわなと震わせ
次に、ものすごい勢いでドアを
バターン!! と閉めた。
雨の中を大荷物抱えて、半ば放り出されたような状態。
とりあえず駅に向かってヨロヨロと歩きながら、
私の頭の中は、たった今起こったことで一杯だった。
言い返してはみたものの・・・・・
一方的にキムが悪いんだから!と思い切れない気持ちが急に湧いてきた。
すごくみじめだった。
あぁ・どんな理由であれ、こんなふうに人と別れるのはイヤなものだ。
いや、後だ。
後でよく考えよう。
実はどうやってアールスコートまで行ったかあまり覚えていない。
駅で、大荷物で四苦八苦する私を見て知らないおじさんが手を貸してくれて、
(よくあることだ。)
「おやおや・・家出かい?」
というようなことをジョークで聞かれたのだが、
私ががっくりしていた(と思う)ので
おじさんは鼻白んでしまい、黙って荷物を運んでくれたのだったと思う。
とにかく、アールスコートまで行かねば。
そんな状況だった。
パート2 Vol-7 へつづく
応援いただけると嬉しいです。

翌日、私は午前の部の仕事を大急ぎで済ませ、キムの部屋をノックした。
昨日のうちに腹を決めていた。
まだ部屋着姿のキムは、部屋の中央にどーんと立って私をねめつけ
ぞっとするほど冷たい感じで
「What is it !?」 と聞いた。
午後から出かける旨を言って、ついでに
「私、明日、出て行きます。」 と伝えた。
キムは何も言わなかった。
もうこの家にいたくない。
それにしても、なぜこれほどに怒ってるのだろう・・・
しかし
どうにでもなれ、だ。
以前金井さんが
「アールスコートには格安ホテルが沢山ある」 と言っていたっけ。
とりあえず明日からはそこへ行こう・・・
翌日。
雨だ。
荷造りは前日に済んでいた。
今までのスーツケースとバッグ2つ。でも、届いたばかりのダンボールが増えた。
階下に降りてゆくと、ダイニングにキムがいた。
私がスーツケースやらその他をドアまで運ぶのを黙ってみている。
ドアの前に立って振り返ると、そこにやってきたキムは
「今週の分のお金よ。・・・・・まったく、求人(広告)にも高いお金を使ったのに!!
沢山(面接に)来たんだから違う人を選ぶべきだったわ!!」
イヤミたっぷりに言って無造作に15ポンドを差し出した。
”ありがとう” と私も(多分)ぶすむくれた顔と固い声で返事をしてドアを開けた。
ドアを出て振り返った。
こんな場面でも一応挨拶しようとする習性がつい出るんだと思う。
そしたらキムが突然言い放った。
「私に隠れてポーラに悪口を言ったわね!!」
私は一瞬驚きで息が止まった。
そうか! ポーラが昨日、すでに話してたんだ!
何だ、そうか!
言わなくていいって言ったのに、、自分で話すって言ったのに・・・
ああ、だから夕べラルフが何か変なこと言ったんだ!
昨日の不機嫌も今日の態度もあっという間になぞが解けた。
なんてマヌケな自分。
でも!
「言ったわ。 だけど、本当のことを言ったのよ」
思わず、低い声で言い返していた。
私の言葉を聞いたキムは、ものすごい顔で私を睨み付け、
口をわなわなと震わせ
次に、ものすごい勢いでドアを
バターン!! と閉めた。
雨の中を大荷物抱えて、半ば放り出されたような状態。
とりあえず駅に向かってヨロヨロと歩きながら、
私の頭の中は、たった今起こったことで一杯だった。
言い返してはみたものの・・・・・
一方的にキムが悪いんだから!と思い切れない気持ちが急に湧いてきた。
すごくみじめだった。
あぁ・どんな理由であれ、こんなふうに人と別れるのはイヤなものだ。
いや、後だ。
後でよく考えよう。
実はどうやってアールスコートまで行ったかあまり覚えていない。
駅で、大荷物で四苦八苦する私を見て知らないおじさんが手を貸してくれて、
(よくあることだ。)
「おやおや・・家出かい?」
というようなことをジョークで聞かれたのだが、
私ががっくりしていた(と思う)ので
おじさんは鼻白んでしまい、黙って荷物を運んでくれたのだったと思う。
とにかく、アールスコートまで行かねば。
そんな状況だった。
パート2 Vol-7 へつづく
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昔の寄り道 Dr.H以前パート2 Vol-5
ポーラとの話しで勇気づけられて、翌日、再度キムと話をしようと私はダイニングにいた。
金曜日の夜だった。
その日はラルフがいつになく早く帰宅していて居間でお酒を飲みながら
テレビを見ているようだった。
キムと話したい内容は結局前回と似たり寄ったりだ。
だけど、違うのはキムの態度だった。
いつもすごくにこやかな人ではなかったが、その日は特に不機嫌で
話を、一応は聞いているが、おざなりな様子が一目瞭然だった。
話しているうちに私の気持ちはしゅーっとしぼんでいった。
私は同じことを言ってたができるだけ譲歩もしようと思ってて
それはキムにも伝わってたと思う。
だけど、、、、途中で話すのをやめた。
急になにもかもイヤになってきたのだ。
私は、毎日せっせと仕事をしてきたし、ジェームズの面倒もよく見た。
仕事が嫌なわけじゃない。
そして、そんなに多くを要求してるわけじゃない。
少し自由時間が欲しいというのは
そんなに不当なことだろうか?
頭の中でそんなことを考えながら、あまり目をあわせようとしないキムを見ていた。
・・・・もうダメだな・・・・
そこへラルフがグラス片手に氷を取りにやってきた。
そして、居間へと戻るときに横を通り過ぎざま私に何か言った。
「人の後ろに隠れて、なんじゃらかんじゃら・・・」
「えっ???」
何を言われたのかよくわからなかったが、
ラルフが睨んだようなさげすんだような顔をしていたのはわかった。(鈍い私。)
結局、尻すぼみになった話し合いでキムの返事も特にないまま
4階の自室に戻った。
何だか・・何が何だかわからなかった。でも
結局、ここには縁がなかったんだな
そう思うと、さんざん悩んでたのがばかばかしくなってきた。
相変わらず寒い部屋にも今更のように腹がたつ。
やっぱり、もう一回面接行脚するしかないか・・・・
しかし、、、、なんというタイミングか、、
この日、郷里の母からの荷物が届いていた。
昼間忙しくてあける暇も無かったその中ぐらいのダンボールが
部屋のベッドにドンと乗ったままになっていた。
開けるまでは平気だった。
だけど、開けて、
はるばる日本から届いたその箱の中に、
なかばカビかけた大福もちパックを見つけて、思わず涙がこぼれた。
・・・・カビてるからって、このままこれ捨てるなんて、とても出来ない。
だから、泣きながらやけくそで食べた。
母には、今まで楽しいことしか書き送ってない。
でも、いろんなことがあるのは普通の大人なら容易に想像がつくことだったろう。
箱には親の思いがしみじみ詰まっていた。
こんなとき、辛いことはフンとやり過ごして我慢できる。
泣く暇も無いほどだ。
でも、優しくされるのはつくづくダメだ。
が、ともかく! 泣いてる場合じゃない!
パート2 Vol-6 へつづく
応援いただけると嬉しいです。

ポーラとの話しで勇気づけられて、翌日、再度キムと話をしようと私はダイニングにいた。
金曜日の夜だった。
その日はラルフがいつになく早く帰宅していて居間でお酒を飲みながら
テレビを見ているようだった。
キムと話したい内容は結局前回と似たり寄ったりだ。
だけど、違うのはキムの態度だった。
いつもすごくにこやかな人ではなかったが、その日は特に不機嫌で
話を、一応は聞いているが、おざなりな様子が一目瞭然だった。
話しているうちに私の気持ちはしゅーっとしぼんでいった。
私は同じことを言ってたができるだけ譲歩もしようと思ってて
それはキムにも伝わってたと思う。
だけど、、、、途中で話すのをやめた。
急になにもかもイヤになってきたのだ。
私は、毎日せっせと仕事をしてきたし、ジェームズの面倒もよく見た。
仕事が嫌なわけじゃない。
そして、そんなに多くを要求してるわけじゃない。
少し自由時間が欲しいというのは
そんなに不当なことだろうか?
頭の中でそんなことを考えながら、あまり目をあわせようとしないキムを見ていた。
・・・・もうダメだな・・・・
そこへラルフがグラス片手に氷を取りにやってきた。
そして、居間へと戻るときに横を通り過ぎざま私に何か言った。
「人の後ろに隠れて、なんじゃらかんじゃら・・・」
「えっ???」
何を言われたのかよくわからなかったが、
ラルフが睨んだようなさげすんだような顔をしていたのはわかった。(鈍い私。)
結局、尻すぼみになった話し合いでキムの返事も特にないまま
4階の自室に戻った。
何だか・・何が何だかわからなかった。でも
結局、ここには縁がなかったんだな
そう思うと、さんざん悩んでたのがばかばかしくなってきた。
相変わらず寒い部屋にも今更のように腹がたつ。
やっぱり、もう一回面接行脚するしかないか・・・・
しかし、、、、なんというタイミングか、、
この日、郷里の母からの荷物が届いていた。
昼間忙しくてあける暇も無かったその中ぐらいのダンボールが
部屋のベッドにドンと乗ったままになっていた。
開けるまでは平気だった。
だけど、開けて、
はるばる日本から届いたその箱の中に、
なかばカビかけた大福もちパックを見つけて、思わず涙がこぼれた。
・・・・カビてるからって、このままこれ捨てるなんて、とても出来ない。
だから、泣きながらやけくそで食べた。
母には、今まで楽しいことしか書き送ってない。
でも、いろんなことがあるのは普通の大人なら容易に想像がつくことだったろう。
箱には親の思いがしみじみ詰まっていた。
こんなとき、辛いことはフンとやり過ごして我慢できる。
泣く暇も無いほどだ。
でも、優しくされるのはつくづくダメだ。
が、ともかく! 泣いてる場合じゃない!
パート2 Vol-6 へつづく
応援いただけると嬉しいです。

昔の寄り道 Dr.H以前パート2 Vol-4
キムにはよく訪ねてくる特に仲が良い女友達がいた。
近頃ご主人と一緒に南アフリカから戻ってきたポーラという女性だ。
キムは理知的でちょっと近づきにくい“静”のイメージ。
逆にポーラはとてもざっくばらんで明るく、“動”というイメージの人だった。
来るたびに私に必ず話しかけてもくれていた。
鬱々と過ごしていた私は、キムには後ろめたい思いがしたものの
キムがポーラのようだったら良かったのに!なんて何度と無く思ったものだ。
最近わかったのだが、キムはエミリーを連れてラルフと再婚したらしい。
初婚だろうが再婚だろうがどっちでも上手くいけばかまわないことだ。
でも、ラルフとエミリーがほとんど会話しない様子は何だか不自然だったし、
エミリーとジェームズも仲が良い悪い以前に、互いに無関心という様子も、
中にいる身(私)としては取り付く島がない感じがしていた。
家族があまりうまく行ってないのかな・・・
いや、、うがち過ぎかな・・・
ある日、キムは別荘があるというミノルカ島で前年に撮った子供たちの写真を見ていた。
そして私を見かけるとこういった。
「今年の夏もミノルカ(の別荘)で過ごす予定なのよ。」
「それは素敵ですね!」 写真をほめながら私が言う。
「ええ、とてもいいところよ。・・・・・で、、貴方がいる場所なんだけど・・・。」
(え?私のいる場所って?)
「私たちがミノルカに行って留守の間にいる所が・・・
でも貴方の前に雇ってたオーペアは一緒に行ったのよねぇ。」
「・・・・・・・(私は連れて行かないってこと?どうしろというの?)」
そう思いつつ、私はでも、特に何も言わずに仕事を続けた。
私のオーペアの友人は家族と一緒にリゾートまで行くといっていたっけ。
そんなホリディを取らない家族のオーペアもいた。
オーペアだけ親戚に預けて家族だけでホリデーに行くという場合もある。
夏のすごし方はその家庭ごとにいろいろのようだが、
どっちにしろリゾートに行ったとしてもオーペアの仕事はしなくてはならない。
私は、実を言うとどっちでも良かった。
ついて一緒に行きたいかどうかわからなかった。
言われたとおりにするまでだ。
それより、キムのそっけない言い方が気になった。
態度の変わらないキムに不信感は募っていたけれど
やっぱり、なるべく気に入られようにせっせとやってきていたんだけどな。
でももう・・・・辞めたほうがいいのかな。
キムは私をどう思っているんだろう・・・気にいらないと思っているのか・・・
キムは悪い人ではない。と思う。
多分、何事にもそっけないタイプかも・・・・でも、本当にそうかな。
でも、やっぱり頑張ろうかな。
ほんとに、何なんだ!というくらい行ったり来たり・・・・
考えを決められないままずるずると日を過ごしていた。
ある日、
キムとポーラが午後からキャシュアンドキャリーという量販店に出かけるという日
午前中出かけていたキムが戻るのが遅れたことがあった。
約束の時間に来てキムを待つポーラと
例のごとくキッチンテーブル磨きの待機状態の私は
たまたまダイニングで他愛ない話をしていたのだが、
その時ふと私は、この人に相談してみようかな、と思ったのだった。
だけど、ポーラはキムの大の仲良しだ。
おかしなことは言えない。
相談といっても、
キムとちょっと考えの相違があるんだけど
出来れば彼女と上手くやっていきたいのが一番の希望で・・、
と伝えて、決してキムを悪し様に非難したわけでは無い。
私は、ポーラに聞いた。
「キムはホントにいい人、フェアな人ですよね?」
(・・・結局、かなりバカな質問だ。
どこの誰が自分の友達をつかまえて、”いいえ、彼女は悪い人よ”なんて言う?)
でもそのときは、とにかく考えが揺れていて,
切羽詰ったような気分になっていた私は、そう聞かずにはいられなかった。
キムに関して私の感じてることは全部誤解で、
キムがまともな人だと確認できて、我慢して頑張ろうと思えるような、
言質がほしかったんだと思う。
ポーラは言った。
「もちろんよ!彼女はちゃんとした、いい人よ。安心して。
もう一度良く話し合ってみたらいいと思うわ。」
「ええ!そうですね。」
「良かったら、かわりに私から彼女に話してあげましょうか。」
「No, No Thank you! 」
大あわてで私は返事した。
いや、ポーラに言ってもらう必要は無い。そんなこと頼みたくない。
「大丈夫です。自分で言えますから、貴方は何もしてくれなくても大丈夫です。
もう一度彼女と話し合ってみます。どうもありがとう。」
私ってつくづく単純だ、と思う。
ポーラと話して、意見を聞いてすっかり嬉しくなってしまったのだ。
まさにその日の朝、例の ”くさい” 騒動も
エミリーのひょんな言葉から原因がわかったというのもあった。
実は、単に彼は、
私が使っていたオーデコロンの匂いが臭いと言っていたのだ。
それまで私は、その単純な事実にさえ気がつかずに
しかも、くさいなんて言われて、それが気になって気になって
朝や、お風呂上りに、ことさらコロンを律儀に付けたりしていたのだから
ジェームズは更に臭いという・・・本当に笑えてくる!
(あとから思うと、いろんなことが重なると、人間、そんなに冷静な
判断は出来ないものなんだなとつくづく思う。)
だから、
キムとのことだって何とか関係修復出来るかも知れない!
やっぱりキムはそんな変な人じゃないんだ!
自分がそう思い込んでただけかも知れない。
きっと。
つづく
応援いただけると嬉しいです。

キムにはよく訪ねてくる特に仲が良い女友達がいた。
近頃ご主人と一緒に南アフリカから戻ってきたポーラという女性だ。
キムは理知的でちょっと近づきにくい“静”のイメージ。
逆にポーラはとてもざっくばらんで明るく、“動”というイメージの人だった。
来るたびに私に必ず話しかけてもくれていた。
鬱々と過ごしていた私は、キムには後ろめたい思いがしたものの
キムがポーラのようだったら良かったのに!なんて何度と無く思ったものだ。
最近わかったのだが、キムはエミリーを連れてラルフと再婚したらしい。
初婚だろうが再婚だろうがどっちでも上手くいけばかまわないことだ。
でも、ラルフとエミリーがほとんど会話しない様子は何だか不自然だったし、
エミリーとジェームズも仲が良い悪い以前に、互いに無関心という様子も、
中にいる身(私)としては取り付く島がない感じがしていた。
家族があまりうまく行ってないのかな・・・
いや、、うがち過ぎかな・・・
ある日、キムは別荘があるというミノルカ島で前年に撮った子供たちの写真を見ていた。
そして私を見かけるとこういった。
「今年の夏もミノルカ(の別荘)で過ごす予定なのよ。」
「それは素敵ですね!」 写真をほめながら私が言う。
「ええ、とてもいいところよ。・・・・・で、、貴方がいる場所なんだけど・・・。」
(え?私のいる場所って?)
「私たちがミノルカに行って留守の間にいる所が・・・
でも貴方の前に雇ってたオーペアは一緒に行ったのよねぇ。」
「・・・・・・・(私は連れて行かないってこと?どうしろというの?)」
そう思いつつ、私はでも、特に何も言わずに仕事を続けた。
私のオーペアの友人は家族と一緒にリゾートまで行くといっていたっけ。
そんなホリディを取らない家族のオーペアもいた。
オーペアだけ親戚に預けて家族だけでホリデーに行くという場合もある。
夏のすごし方はその家庭ごとにいろいろのようだが、
どっちにしろリゾートに行ったとしてもオーペアの仕事はしなくてはならない。
私は、実を言うとどっちでも良かった。
ついて一緒に行きたいかどうかわからなかった。
言われたとおりにするまでだ。
それより、キムのそっけない言い方が気になった。
態度の変わらないキムに不信感は募っていたけれど
やっぱり、なるべく気に入られようにせっせとやってきていたんだけどな。
でももう・・・・辞めたほうがいいのかな。
キムは私をどう思っているんだろう・・・気にいらないと思っているのか・・・
キムは悪い人ではない。と思う。
多分、何事にもそっけないタイプかも・・・・でも、本当にそうかな。
でも、やっぱり頑張ろうかな。
ほんとに、何なんだ!というくらい行ったり来たり・・・・
考えを決められないままずるずると日を過ごしていた。
ある日、
キムとポーラが午後からキャシュアンドキャリーという量販店に出かけるという日
午前中出かけていたキムが戻るのが遅れたことがあった。
約束の時間に来てキムを待つポーラと
例のごとくキッチンテーブル磨きの待機状態の私は
たまたまダイニングで他愛ない話をしていたのだが、
その時ふと私は、この人に相談してみようかな、と思ったのだった。
だけど、ポーラはキムの大の仲良しだ。
おかしなことは言えない。
相談といっても、
キムとちょっと考えの相違があるんだけど
出来れば彼女と上手くやっていきたいのが一番の希望で・・、
と伝えて、決してキムを悪し様に非難したわけでは無い。
私は、ポーラに聞いた。
「キムはホントにいい人、フェアな人ですよね?」
(・・・結局、かなりバカな質問だ。
どこの誰が自分の友達をつかまえて、”いいえ、彼女は悪い人よ”なんて言う?)
でもそのときは、とにかく考えが揺れていて,
切羽詰ったような気分になっていた私は、そう聞かずにはいられなかった。
キムに関して私の感じてることは全部誤解で、
キムがまともな人だと確認できて、我慢して頑張ろうと思えるような、
言質がほしかったんだと思う。
ポーラは言った。
「もちろんよ!彼女はちゃんとした、いい人よ。安心して。
もう一度良く話し合ってみたらいいと思うわ。」
「ええ!そうですね。」
「良かったら、かわりに私から彼女に話してあげましょうか。」
「No, No Thank you! 」
大あわてで私は返事した。
いや、ポーラに言ってもらう必要は無い。そんなこと頼みたくない。
「大丈夫です。自分で言えますから、貴方は何もしてくれなくても大丈夫です。
もう一度彼女と話し合ってみます。どうもありがとう。」
私ってつくづく単純だ、と思う。
ポーラと話して、意見を聞いてすっかり嬉しくなってしまったのだ。
まさにその日の朝、例の ”くさい” 騒動も
エミリーのひょんな言葉から原因がわかったというのもあった。
実は、単に彼は、
私が使っていたオーデコロンの匂いが臭いと言っていたのだ。
それまで私は、その単純な事実にさえ気がつかずに
しかも、くさいなんて言われて、それが気になって気になって
朝や、お風呂上りに、ことさらコロンを律儀に付けたりしていたのだから
ジェームズは更に臭いという・・・本当に笑えてくる!
(あとから思うと、いろんなことが重なると、人間、そんなに冷静な
判断は出来ないものなんだなとつくづく思う。)
だから、
キムとのことだって何とか関係修復出来るかも知れない!
やっぱりキムはそんな変な人じゃないんだ!
自分がそう思い込んでただけかも知れない。
きっと。
つづく
応援いただけると嬉しいです。

昔の寄り道 Dr.H以前パート2 Vol-3
キムとの関係を何とか良いものしたかった私は、
ある夜、意を決してキムに率直に話をすることにした。
その日キムは特に機嫌は悪くなかったし、雰囲気も小康状態といったものだった。
はじめに私は、働くのはあたりまえだし、かまわないとはっきり伝えた。
でも、オーペアは基本的に一日6時間程度の仕事の義務しかないこと、
だけど、現状は(仕事の量はともかくとしても)
朝8時から夜8時ころまで、ほとんどの時間、自分の自由時間がないのは
アンフェアだと思う、と訴えた。
英語学校にも行きたいし、勉強や読書や手紙を書いたりする自分の時間がほしい、と。
ちゃんと伝えるために辞書まで持参して話した。
キムは物分りのいい物腰でふむふむとうなずきながら聞いていた。
「わかったわ。 オーペアのことはその通りね。
でも学校が始まったらそれが必然的にあなたの自由時間になるでしょう?」
「ええ、でも学校はまだ一月待たないと行けないんです。」 と私。
「それは仕方がないわね・・・・私に言われても・・・
でも、まあ、あなたの言い分はわかったわ。」
私は嬉しかった。キムがわかってくれたと思って、
思い切って話してよかったとつくづく思った。
キムは、特に私の仕事振りに不満は無いとも言った。
私は本当は、もっと忙しくてももかまわない、と思っていたけれど、
私が例えば掃除などをするようになると、
あのお掃除おばさんの仕事を奪ってしまうようなことになったら困る。
それは言い出せないことだった。
でも、ともかく、その夜はひさびさに少し幸せな気分で眠りに付いた。
ところが・・・・、
翌日以降もキムはまったく、少しも態度を変えなかった。
今までとそっくり同じ。
あの話し合いは何だったんだろう・・・・・なんで??
午後はジェームズが家にいるので相手をするのは仕方ないにしても
せめて、朝のナースリーに送って片付けも終えたら、
後の一時間くらいでも自由に使えたらもうそんなに文句も言う気なかったのに。
まったく変化無しってどういうことなの?
どうしてなんだろう?・・・・・・
何も言わずに出かけて、帰宅したとたんオーブンを見張ってなかったと
なじられたり、
クリーニングから戻ってきた服なのに誰が持ってきたか、としつこく聞かれたり
言われてもいないことを責めるのもおんなじだ。
それとも、私がただただ気が利かない役立たずなのか?
一体どこからどこまでが私の仕事?
疑心暗鬼のまま相変わらずの日を送るうちに
今度は・・・・
ジェームズが、
私の事を 臭い と言い出したのだ。
初めてそれを耳にしたときは、
あまりにショックで突然どこかに突き落とされたような気分だった。
私に限らず、日本人はもともと西洋人みたいな体臭はほとんど無いと思う。
その上、動物性たんぱく質もめったに無い質素な食事。入浴もちゃんとしてる。
脇の病気(?)も無い。
臭いなんてありうるの??
身内からさえ言われたことの無い言葉だ。
だけど、、、、と思った。ジェームズはたった3歳なのだ。
嘘なんかつくはずない、だろう・・・・・。
やぶん、本当に臭いから臭いといっているのだ・・・・・・・
そう思うと、訳がわからず、真から途方にくれた。
ラルフがジェームズのその無遠慮な言葉を聞きつけて
「そんな失礼なことをクチに出すものではない。」
と助っ人してくれるが、気の毒そうな、人を下に見るようなチラチラ視線が辛い。
そして、
「だってパパ、ほんとに臭いんだよ。」
とジェームズが更に言い募る。
気まずい空気、身の置き所の無い気分。
訳がわからないだけにどうすることも、どうしたらいいかもわからず、
部屋に戻ってもぼーっとするばかり。
この”くさい” 騒動で更に気持ちがどん底だ。
イギリスに来て以来、(多分)カルチャーショックで生理も止まったままだし、
痩せてしまった。
自分が思うよりよほどストレスを感じていたのか・・・
ともかくそんな訳で、望みとはうらはらに
私 対 キム一家はますます救いようの無い雰囲気になる一方だった。
つづく
応援いただけると嬉しいです。

キムとの関係を何とか良いものしたかった私は、
ある夜、意を決してキムに率直に話をすることにした。
その日キムは特に機嫌は悪くなかったし、雰囲気も小康状態といったものだった。
はじめに私は、働くのはあたりまえだし、かまわないとはっきり伝えた。
でも、オーペアは基本的に一日6時間程度の仕事の義務しかないこと、
だけど、現状は(仕事の量はともかくとしても)
朝8時から夜8時ころまで、ほとんどの時間、自分の自由時間がないのは
アンフェアだと思う、と訴えた。
英語学校にも行きたいし、勉強や読書や手紙を書いたりする自分の時間がほしい、と。
ちゃんと伝えるために辞書まで持参して話した。
キムは物分りのいい物腰でふむふむとうなずきながら聞いていた。
「わかったわ。 オーペアのことはその通りね。
でも学校が始まったらそれが必然的にあなたの自由時間になるでしょう?」
「ええ、でも学校はまだ一月待たないと行けないんです。」 と私。
「それは仕方がないわね・・・・私に言われても・・・
でも、まあ、あなたの言い分はわかったわ。」
私は嬉しかった。キムがわかってくれたと思って、
思い切って話してよかったとつくづく思った。
キムは、特に私の仕事振りに不満は無いとも言った。
私は本当は、もっと忙しくてももかまわない、と思っていたけれど、
私が例えば掃除などをするようになると、
あのお掃除おばさんの仕事を奪ってしまうようなことになったら困る。
それは言い出せないことだった。
でも、ともかく、その夜はひさびさに少し幸せな気分で眠りに付いた。
ところが・・・・、
翌日以降もキムはまったく、少しも態度を変えなかった。
今までとそっくり同じ。
あの話し合いは何だったんだろう・・・・・なんで??
午後はジェームズが家にいるので相手をするのは仕方ないにしても
せめて、朝のナースリーに送って片付けも終えたら、
後の一時間くらいでも自由に使えたらもうそんなに文句も言う気なかったのに。
まったく変化無しってどういうことなの?
どうしてなんだろう?・・・・・・
何も言わずに出かけて、帰宅したとたんオーブンを見張ってなかったと
なじられたり、
クリーニングから戻ってきた服なのに誰が持ってきたか、としつこく聞かれたり
言われてもいないことを責めるのもおんなじだ。
それとも、私がただただ気が利かない役立たずなのか?
一体どこからどこまでが私の仕事?
疑心暗鬼のまま相変わらずの日を送るうちに
今度は・・・・
ジェームズが、
私の事を 臭い と言い出したのだ。
初めてそれを耳にしたときは、
あまりにショックで突然どこかに突き落とされたような気分だった。
私に限らず、日本人はもともと西洋人みたいな体臭はほとんど無いと思う。
その上、動物性たんぱく質もめったに無い質素な食事。入浴もちゃんとしてる。
脇の病気(?)も無い。
臭いなんてありうるの??
身内からさえ言われたことの無い言葉だ。
だけど、、、、と思った。ジェームズはたった3歳なのだ。
嘘なんかつくはずない、だろう・・・・・。
やぶん、本当に臭いから臭いといっているのだ・・・・・・・
そう思うと、訳がわからず、真から途方にくれた。
ラルフがジェームズのその無遠慮な言葉を聞きつけて
「そんな失礼なことをクチに出すものではない。」
と助っ人してくれるが、気の毒そうな、人を下に見るようなチラチラ視線が辛い。
そして、
「だってパパ、ほんとに臭いんだよ。」
とジェームズが更に言い募る。
気まずい空気、身の置き所の無い気分。
訳がわからないだけにどうすることも、どうしたらいいかもわからず、
部屋に戻ってもぼーっとするばかり。
この”くさい” 騒動で更に気持ちがどん底だ。
イギリスに来て以来、(多分)カルチャーショックで生理も止まったままだし、
痩せてしまった。
自分が思うよりよほどストレスを感じていたのか・・・
ともかくそんな訳で、望みとはうらはらに
私 対 キム一家はますます救いようの無い雰囲気になる一方だった。
つづく
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